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名鉄ク2300形電車 (初代) : ウィキペディア日本語版
名岐鉄道デボ800形電車[めいぎてつどうでぼ800がたでんしゃ]

名岐鉄道デボ800形電車(めいぎてつどうデボ800がたでんしゃ)は、現・名古屋鉄道(名鉄)の前身事業者である名岐鉄道が、主に優等列車運用に供する目的で1935年昭和10年)より導入した電車制御電動車)である。
同年8月には名岐鉄道(名岐)と愛知電気鉄道(愛電)の合併により現・名古屋鉄道(名鉄)が発足したため、同年4月に落成したデボ800形801 - 805の5両は名岐鉄道最後の新製車両となった。また、現・名鉄発足後の同年12月にはデボ806 - デボ810の5両が落成し〔、デボ800形に属する車両は計10両となった〔。
デボ800形は幕板部分を広く取った18 m級2扉車体・110 kW級主電動機(架線電圧1,500 V時)・電動カム軸式間接自動加速制御器自動空気ブレーキなど、1950年代前半までに名鉄が導入した鉄道車両各形式に共通する基本仕様を確立した車両形式である〔〔。デボ800形より始まったこれらの特徴を備える大型吊り掛け駆動車各形式は、後に「AL車」と総称されることとなった〔。
現・名鉄発足後に実施された形式称号改訂にてデボ800形はモ800形(初代)と形式称号を改め〔、後に同形の制御車ク2300形(初代)および付随車サ2310形の両形式が増備された〔。これらは後年の各種改造を経て、最終的に制御電動車モ800形(初代)・制御電動車モ830形・制御車ク2310形の3形式に再編された〔〔。前記3形式は800系と総称され〔〔、モ830形は1980年(昭和55年)まで〔、ク2310形は1988年(昭和63年)まで〔、モ800形は1996年(平成8年)まで〔、それぞれ運用された。
以下、本項においては、上掲3形式を総称する場合は「本系列」と記述し、また編成単位の説明に際してはモ800形およびモ830形の車両番号をもって編成呼称とする(例:モ800形801-ク2310形2311の2両で組成された編成は「801編成」)。
== 導入経緯 ==
名古屋電気鉄道の解散に際して、後の犬山線津島線などに相当する「郡部線」と総称される郊外線部門を継承して発足した旧・名古屋鉄道は〔、他事業者の吸収合併や新規路線開業によって順次路線網を拡大した〔。その一方で、名古屋市岐阜市という2つの大都市を直結する都市間路線を形成することを目論み、既存路線である清洲線を延伸する形で名岐間直通路線の建設に着手した〔。
旧・名古屋鉄道は1930年(昭和5年)8月の美濃電気軌道買収を機に、同年9月に社名を名岐鉄道と改称〔、1935年(昭和10年)4月には新一宮(現・名鉄一宮) - 新笠松(現・笠松)間が開通した〔。これにより、既開業区間と合わせて押切町 - 新岐阜(現・名鉄岐阜)間の名岐間直通路線「名岐線」が全線開通し、会社発足当時からの悲願を達成した〔。
名岐鉄道はこの名岐線全線開通に際して、旧・名古屋鉄道当時に新製されたデセホ750形以来6年ぶりとなる新型車両を導入することとした〔。発注先である日本車輌製造本店において、1929年(昭和9年)9月7日付で設計図面「組-5-ハ-2837」が作成され〔、翌1930年(昭和10年)4月にデボ800形801 - 805の5両が落成した〔。名岐線においては全線開通時より特急列車の運行が開始され、デボ800形はこの特急列車運用に供する車両として設計・製造されたものである〔。
名岐鉄道における名古屋側の拠点駅は柳橋であり、押切町 - 柳橋間は名古屋市電との共同運行区間で、かつ公道上に線路が敷設された併用軌道区間となっていた〔。そのため、従来名岐鉄道が保有した鉄道車両(2軸ボギー車)は概ね15 m級の中型車体とし、集電装置としてパンタグラフとトロリーポールを併設するなど、併用軌道区間の走行を考慮した設計が採用された〔。対して、デボ800形は地方鉄道法に準拠した18 m級の大型車体を採用し、主電動機出力を従来車と比較して4割以上増強、集電装置も落成当初からパンタグラフのみを搭載するなど、併用軌道区間への入線を考慮しない名岐鉄道初の本格的な高速電車として設計・製造された〔。前述デセホ750形との車体寸法の比較では、車体長で約3,300 mm・車体幅で300 mmそれぞれ大型化されている〔〔。そのため、デボ800形の導入に際しては、既開業区間の各所にて軌道中心間隔の拡大および曲線の緩和など、地上設備の改良工事が施工された〔。
デボ800形が充当された名岐線の特急列車は、押切町 - 新岐阜間を35分で結び〔、当時の東海道本線の普通列車が名古屋 - 岐阜間に50分を要していたことと比較して大幅な所要時分短縮を実現した〔。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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